「工場にはいろいろな配管があるけれど、材質によって何が違うのだろう」「配管を延長・更新するとき、今と同じ材料でよいのだろうか」。設備を担当するようになると、こうした疑問を持つことがあります。
工場の配管は、水・圧縮空気・蒸気・油・薬品などを必要な場所へ運んでいます。見た目が似ていても、流すものや使用条件に合わない材料を選ぶと、腐食や漏れ、設備トラブルにつながることがあります。
この記事では、工場で使われる代表的な配管材の特徴と用途、材質を選ぶときの確認ポイントを、図とともに紹介します。
配管の材質を選ぶときの4つの条件
配管材を選ぶときは、材質名だけでなく、次の4つを確認することが基本です。
- 流体:水、圧縮空気、蒸気、油、薬液など、何を流すか。水質や薬品の種類・濃度も確認します。
- 温度:通常運転時だけでなく、洗浄時や運転開始・停止時にどの程度の温度になるか。
- 圧力:使用圧力に加え、圧力変動や設備側の条件も確認します。
- 使用環境:屋内・屋外、湿気、周囲の薬品、埋設の有無、衛生面の要求など。
たとえば、同じ「水の配管」でも、冷却水、温水、食品製造に使う水では求められる条件が異なります。既設配管と同じ材質でも、増設先の条件が変わる場合は、改めて確認が必要です。
炭素鋼鋼管の黒管と白管の違い
炭素鋼鋼管は、工場のユーティリティ配管でよく使われる材料です。炭素鋼鋼管にはSGP(配管用炭素鋼鋼管)などがあり、亜鉛めっきの有無によって「黒管」「白管」と呼び分けられます。
蒸気・圧縮空気・油などに使われる黒管
黒管は、表面に亜鉛めっきを施していない鋼管です。蒸気、圧縮空気、油などの配管に使われますが、水分や周囲の環境によって錆びるため、防食や保温、点検も重要です。蒸気配管などでは、使用温度・圧力に応じて管の規格や厚さ、継手を選定します。
亜鉛めっきで腐食を抑える白管
白管は、亜鉛めっきを施した鋼管です。工業用水や冷却水、圧縮空気などの配管で使用されることがあります。ただし、めっきがあっても腐食しないわけではありません。水質や温度などを踏まえて適否を判断します。飲用水の配管は、適合する管種を別途確認してください。
なお、黒管や白管が現場で「ガス管」と呼ばれることがあっても、ガスだけに使うという意味ではありません。呼び名や外観だけで、流体や材質を決めつけないことが大切です。
耐食性や衛生面を重視する場所で使うステンレス配管
ステンレス配管は、耐食性が求められる水の配管や、食品・飲料・薬品を扱う設備などで使われます。用途に合った材質や施工方法を選ぶことが、腐食対策や衛生管理に役立ちます。
代表的な材質にSUS304とSUS316があります。SUS316はSUS304より耐食性を高めた材質ですが、「薬品ならSUS316でよい」「塩分があっても問題ない」と一律に判断できるものではありません。
ステンレスでも、水質、塩分、温度、付着物、接合部の状態などによって腐食することがあります。また、食品設備の衛生性は、材質だけでなく、配管の構造や接合、洗浄方法にも左右されます。更新時は、今の配管が傷んだ原因も確認することが大切です。
塩ビ管・ポリエチレン管など樹脂配管の特徴
樹脂配管は、金属のような赤錆が発生せず、軽量なことが特徴です。給水、排水、薬液などの用途で使われますが、樹脂の種類や製品によって対応できる流体・温度・圧力が異なります。
VP管とVU管の違い
一般的な塩ビ管のVP管とVU管は、太さが同じでも用途が異なります。VP管はVU管より厚肉で、圧力がかかる用途にも使われます。VU管は薄肉で、主に圧力のかからない排水・通気に使われます。ただし、給水に使用できるかなどは、製品の規格・仕様を確認する必要があります。
ポリエチレン管の用途と確認点
ポリエチレン管は、給水や埋設配管などで使われます。塩ビ管と同様に製品ごとの確認が必要で、薬液に使用する場合は、薬品の種類・濃度・温度に対する適合性を確認します。接続方法も管の種類により異なります。
樹脂配管は「錆びないから何にでも使える」というものではありません。高温・高圧の用途や圧縮空気に使う場合は、一般的な給排水用の製品をそのまま流用せず、メーカーが認める用途と使用条件を確認してください。
銅管・アルミ配管・ライニング鋼管の使い分け
- 銅管:エアコンや冷凍設備などの冷媒配管で使われます。冷媒の種類や圧力、機器の仕様に適合する管と接続方法を選びます。チラーでも、冷媒側と冷却水側は分けて考えます。
- アルミ配管:圧縮空気用の配管システムなどで採用されます。軽量で施工しやすい製品がありますが、対応する圧力や継手など、システムの仕様を確認します。
- ライニング鋼管:鋼管の内面に樹脂などのライニングを設けた管です。給水・冷却水などに使われます。使用可能な温度や流体は内面材の種類と製品によって異なるため、高温用途への適否も仕様で確認します。
用途別に見る工場配管の代表的な材質
以下は、材質を知るための代表例です。実際の採用可否は、流体の性質と製品の使用条件を確認して判断します。
| 流体・用途 | 配管材の代表例 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 圧縮空気 | 炭素鋼鋼管、ステンレス、専用アルミ配管 | 圧力、ドレン、必要な空気品質 |
| 蒸気 | 使用条件に適合する炭素鋼鋼管など | 温度、圧力、管厚、接続方法 |
| 給水・冷却水 | ステンレス、用途に適合する樹脂管・ライニング鋼管など | 飲用の有無、水質、温度 |
| 排水 | 用途に適合する塩ビ管など | 排水の温度、成分、圧力の有無 |
| 油 | 炭素鋼鋼管、ステンレスなど | 油の種類、温度、圧力、シール材 |
| 薬液 | 適合する樹脂管やステンレスなど | 薬品の種類、濃度、温度、接液部全体の耐薬品性 |
| 冷媒 | 機器の仕様に適合する銅管など | 冷媒の種類、圧力、機器の指定 |
配管の延長・更新で最初に確認すること
最初から材質を決めて相談する必要はありません。たとえば「設備を増設するのでエア配管を延長したい」「冷却水配管の錆や漏れが気になる」「薬液を変えるので、今の配管が使えるか確認したい」といった、目的や困りごとから整理できます。
相談するときは、分かる範囲で、流しているもの、温度・圧力、現在の配管や接続部の写真、延長・更新したい場所をお伝えください。図面があれば、既設設備とのつながりも確認しやすくなります。
まずは黒管・ステンレス・塩ビ管の違いを知ることが、現場の配管を理解する第一歩です。そのうえで、材質は「流体・温度・圧力・使用環境」を合わせて見て最終判断します。
工場の配管工事についてのご相談
株式会社PMコンサルティングでは、愛知県の工場を中心に、エア・水・蒸気・油などの配管工事に対応しています。配管の延長、更新、漏れへの対応など、現在の状況からご相談ください。
この記事は、当社Instagramの「配管の材質と使い分け」の投稿をもとに、ブログ向けの説明を加えたものです。Instagramでも工場設備の基礎知識を紹介しています。